「ボードゲームを作る仕事に就きたい」「ゲームデザイナーってどうやってなるの?」。ボードゲーム市場が広がる中で、作り手を目指す人が増えています。でも、ひと口に「ボードゲームを作る仕事」といっても、その中には驚くほど多くの職種が関わっています。
この記事では、実際にボードゲームを企画・制作している現役京大院生のクリエイター集団「京大ボドゲ製作所」が、ボードゲーム制作に関わる13の職種と必要なスキル、クリエイターになる4つのルート、必要な適性、よくある質問までをまとめて解説します。これからこの世界を目指す人の最初の地図になれば嬉しいです。
ボードゲームを作る仕事とは
ボードゲームは、たった一人で完成するものではありません。ルールを考える人、絵を描く人、箱をデザインする人、印刷を手配する人、売る人。1つの製品の裏側には、専門の異なる多くの人の仕事が積み重なっています。
近年はアナログゲーム市場の拡大とともに、企業のメーカー勤務だけでなく、フリーランスのデザイナーや、ゲームマーケットを舞台にした同人制作など、関わり方も多様になっています。まずは「どんな職種があるのか」を知ることが、作り手への第一歩です。
ボードゲーム制作に関わる13の職種
ボードゲーム制作の現場には、大きく分けて次の13の職種があります。それぞれの役割と必要なスキル、向いている関わり方を見ていきましょう。
ディレクター

主な仕事:制作全体の方向性を決め、各担当をまとめる現場の責任者
必要なスキル:統率力・判断力・全体を見る視野 / 向いている関わり方:企業・チーム制作
プロデューサー
主な仕事:予算・スケジュール・販売戦略など企画を成立させる責任者
必要なスキル:企画力・予算管理・交渉力 / 向いている関わり方:企業・チーム制作
ゲームデザイナー
主な仕事:ルールやゲームの仕組みを設計し、テストを重ねて調整する中核
必要なスキル:論理的思考・発想力・分析力 / 向いている関わり方:企業・フリー両方
ビジュアルデザイナー

主な仕事:箱やボード、カードの見た目・レイアウトをデザインする
必要なスキル:グラフィックデザイン・配色・DTP / 向いている関わり方:企業・フリー両方
イラストレーター
主な仕事:キャラクターや世界観のイラストを描く
必要なスキル:画力・世界観表現・締切管理 / 向いている関わり方:フリー・外注が多い
シナリオライター
主な仕事:マーダーミステリーや世界観もののストーリーを書く
必要なスキル:文章力・構成力・伏線設計 / 向いている関わり方:フリー・外注が多い
コンポーネント設計
主な仕事:コマ・カード・トークンなど構成物の仕様や素材を決める
必要なスキル:設計力・素材知識・コスト感覚 / 向いている関わり方:企業・チーム制作
テストプレイヤー
主な仕事:実際に遊んでバランスや分かりにくさを検証し改善点を出す
必要なスキル:観察力・言語化力・ゲーム経験 / 向いている関わり方:企業・ボランティア両方
営業

主な仕事:ショップや問屋に商品を卸し、取扱を広げる
必要なスキル:コミュニケーション力・提案力 / 向いている関わり方:企業勤め
マーケティング
主な仕事:宣伝・SNS運用・プロモーション戦略を立てる
必要なスキル:分析力・SNS運用・企画力 / 向いている関わり方:企業・フリー両方
DTP・印刷担当
主な仕事:印刷データを整え、印刷所とやり取りして製品化する
必要なスキル:DTPソフト・印刷知識・正確さ / 向いている関わり方:企業・外注が多い
カスタマーサポート
主な仕事:ルール質問や不良品対応などユーザー対応を行う
必要なスキル:対応力・商品知識・丁寧さ / 向いている関わり方:企業勤め
経理・バックオフィス
主な仕事:売上管理や経費精算など制作活動を支える事務
必要なスキル:数字管理・正確さ・実務知識 / 向いている関わり方:企業勤め
ボードゲーム制作の職種 比較表
13の職種を、主な仕事・必要なスキル・向いている関わり方で一覧にまとめました。自分の強みや興味に近い職種を探してみてください。
職種 | 主な仕事 | 必要なスキル | 向いてる関わり方 |
|---|---|---|---|
ディレクター | 制作全体の方向性を決め、各担当をまとめる現場の責任者 | 統率力・判断力・全体を見る視野 | 企業・チーム制作 |
プロデューサー | 予算・スケジュール・販売戦略など企画を成立させる責任者 | 企画力・予算管理・交渉力 | 企業・チーム制作 |
ゲームデザイナー | ルールやゲームの仕組みを設計し、テストを重ねて調整する中核 | 論理的思考・発想力・分析力 | 企業・フリー両方 |
ビジュアルデザイナー | 箱やボード、カードの見た目・レイアウトをデザインする | グラフィックデザイン・配色・DTP | 企業・フリー両方 |
イラストレーター | キャラクターや世界観のイラストを描く | 画力・世界観表現・締切管理 | フリー・外注が多い |
シナリオライター | マーダーミステリーや世界観もののストーリーを書く | 文章力・構成力・伏線設計 | フリー・外注が多い |
コンポーネント設計 | コマ・カード・トークンなど構成物の仕様や素材を決める | 設計力・素材知識・コスト感覚 | 企業・チーム制作 |
テストプレイヤー | 実際に遊んでバランスや分かりにくさを検証し改善点を出す | 観察力・言語化力・ゲーム経験 | 企業・ボランティア両方 |
営業 | ショップや問屋に商品を卸し、取扱を広げる | コミュニケーション力・提案力 | 企業勤め |
マーケティング | 宣伝・SNS運用・プロモーション戦略を立てる | 分析力・SNS運用・企画力 | 企業・フリー両方 |
DTP・印刷担当 | 印刷データを整え、印刷所とやり取りして製品化する | DTPソフト・印刷知識・正確さ | 企業・外注が多い |
カスタマーサポート | ルール質問や不良品対応などユーザー対応を行う | 対応力・商品知識・丁寧さ | 企業勤め |
経理・バックオフィス | 売上管理や経費精算など制作活動を支える事務 | 数字管理・正確さ・実務知識 | 企業勤め |
ボードゲームクリエイターになる4つのルート
「作る側」になる道は一つではありません。代表的な4つのルートを紹介します。
① ボードゲームメーカー・ゲーム会社に就職する
アナログゲームのメーカーや玩具会社に就職し、デザイナー・営業・マーケティングなどの職種で関わるルート。安定した環境でチーム制作を学べます。求人は多くないため、後述の同人制作などで実績を作っておくと有利です。
② 同人・ゲームマーケットから始める
日本最大のアナログゲームイベント「ゲームマーケット」に自作ゲームを出展し、作り手として活動を始めるルート。学生や社会人が副業・趣味から始めやすく、京大ボドゲ製作所もこのスタイルで活動しています。まず1作を完成させる経験が何よりの財産になります。
③ 専門スクール・大学で学ぶ
ゲームデザインやグラフィック、シナリオなどを専門に学べるスクールや学部で基礎を身につけるルート。イラストやDTPなど専門スキルが必要な職種を目指す場合に有効です。
④ 副業・趣味から少しずつ広げる
本業を続けながら、テストプレイヤーやイラストの外注、SNSでの発信などから関わり始めるルート。リスクが低く、自分に合う職種を見極めながらステップアップできます。
ボードゲームを作る仕事に必要なスキル・適性
職種によって求められる力は違いますが、作り手に共通して役立つ素養があります。
1. 「なぜ面白いのか」を言語化する力。ゲームの面白さや課題を言葉で説明できる力は、デザイナーにもテストプレイヤーにも欠かせません。
2. たくさん遊んだ経験。多くのゲームに触れた経験は、発想やバランス感覚の土台になります。好きを突き詰めることが強みになります。
3. 完成させ、人に届ける行動力。アイデアより「形にして世に出す」ことが何より難しく、価値があります。小さくても一度完成させた経験が道を開きます。
特別な資格は必要ありません。文系・理系も、絵が描ける描けないも問いません。自分の強みを活かせる職種が、必ずどこかにあります。
現役クリエイターのリアル|京大ボドゲ製作所の場合
京大ボドゲ製作所は、「遊びから知る、楽しく学ぶ」をコンセプトに、現役の京大院生が学び×ボードゲームを企画・開発しているクリエイター集団です。ゲームデザイン、イラスト、テストプレイ、販売まで、メンバーがそれぞれの強みを持ち寄って1作ずつ形にしています。
私たちもまた、ゲームマーケットへの出展から活動を始めました。どうやってこのチームが生まれたのかは、京大ボドゲ製作所 結成までのお話にまとめています。作り手のリアルな出発点として、これから目指す人の参考になれば嬉しいです。
まずは「作り手目線」でゲームを遊んでみよう
作る側を目指すなら、完成度の高いゲームを「なぜ面白いのか」という作り手の目線で分解して遊ぶのが一番の勉強になります。京大ボドゲ製作所が実際に作ったゲームは、学びをテーマに設計の意図がはっきりしているので、構造を読み解く教材としてもおすすめです。
TEN(テン)|四則演算カードゲーム
価格:2,000円 / プレイ人数:2〜4人 / 入手先:京大ボドゲ製作所 公式ストア
シンプルなルールで計算力が鍛えられる、学び系ゲームの設計のお手本。「簡単なのに奥深い」をどう作るかが詰まっています。
株トレ|株式投資シミュレーション
価格:5,000円 / プレイ人数:2〜6人 / 入手先:京大ボドゲ製作所 公式ストア
投資の仕組みを遊びながら体験できる、テーマと学びを両立させた一作。題材をどうゲームに落とし込むかの好例です。
よくある質問(FAQ)
Q. 未経験でもボードゲームを作る仕事に就ける?
就けます。同人・ゲームマーケットから始めて実績を作る人が多く、未経験から作り手になった例はたくさんあります。まず1作を完成させることが近道です。
Q. 文系で、絵が描けなくてもなれる?
問題ありません。ゲームデザイン・企画・テストプレイ・営業・マーケティングなど、絵を描かない職種が数多くあります。シナリオなら文章力が武器になります。
Q. 専業で食べていける?
専業デザイナーとして活動する人もいますが、副業や同人と並行する人も多いのが実情です。まずは副業・趣味から始め、少しずつ広げるのが現実的です。
Q. まず何から始めればいい?
好きなゲームをたくさん遊び、その面白さを言葉にしてみること。そして、ルールが簡単でいいので自作ゲームを1つ完成させてみることです。
Q. 必要な資格はある?
特別な資格は不要です。職種によってはDTPソフトやイラストのスキルが役立ちますが、資格よりも「作って届けた経験」が評価されます。
Q. 学生のうちにできることは?
サークルや仲間とゲームを作ってゲームマーケットに出すのが最高の経験になります。京大ボドゲ製作所も学生の活動から始まりました。
まとめ|ボードゲームを作る仕事は、想像よりずっと幅広い
ボードゲームを作る仕事には、デザイナーだけでなく、イラスト・シナリオ・営業・マーケティングなど13もの職種が関わっています。自分の強みを活かせる入り口は必ずあります。
なり方も、メーカー就職・同人・スクール・副業と多様です。大切なのは、たくさん遊び、面白さを言葉にし、小さくても1作を完成させて世に出すこと。その一歩が、作り手への道を開きます。
まずは作り手目線でゲームを遊ぶことから。京大院生が学びのために作ったゲームを、公式ストアでのぞいてみてください。
